指定大学院とは / 大学院の選び方

臨床心理士指定大学院とは

臨床心理士には、一定の水準の知識や技能を持つことが期待されていることや、
臨床心理士の教育・訓練を行うカリキュラムなどの整備を行うことによって、1996年より臨床心理士を
養成する大学院として、公益財団法人日本臨床心理士資格認定協会の認定を受けた
大学院(修士課程/博士前期課程)を修了することが、臨床心理士の資格試験を受ける上で必須とされました。
(医師や諸外国の大学院を修了したものを除く)

指定大学院は厳正な審査のもとに審査が行われ、カリキュラムの内容や臨床心理関連の充実、
有料の附属心理相談室の設置と運営の実態、学外における実習施設の整備、臨床心理士の資格を有する
教員の人数などによって審査の可否が決まります。

臨床心理士指定大学院には、大きく分けて3つの形があります。
第1種臨床心理士指定大学院、第2種臨床心理士指定大学院、臨床心理士専門職大学院の3種類です。

第1種の大学院の基準を満たさなかった大学院(例えば臨床心理士を有する教員の数が規定に満たない、
実習施設が十分ではない)は第2種とされ、第2種の場合は臨床心理士の資格試験を受けるために、
修了してから1年間の臨床心理関係の実務経験が必須となります。
現在では多くの大学院が第2種から第1種に昇格され、第2種の大学院はかなり少なくなっています。

また、専門職大学院は2003年の学校教育法の改正に合わせて整備された高度専門職業人を養成する大学院として、2005年より文部科学省から認可され始めた大学院です。
専門職大学院の第一号は九州大学の大学院、人間環境学府実践臨床心理学専攻であり、2011年4月1日現在で、
鹿児島大学、関西大学、帝京平成大学、帝塚山学院大学、広島国際大学を合わせた計6校が
専門職大学院として認められました。

「大学院」という制度自体が、「研究をする場所」という位置づけですので、第1種、第2種のような
通常の大学院には修士論文が存在し、大学院の2年間の間に研究を行った成果を修士論文にして
提出することが求められています
大学院入試の際には、研究計画書という修士論文作成のための
計画書作成が求められることが多い
といえます。

ただ、専門職大学院は、「高度専門職業人の養成を行う場所」という位置づけですので、
そのことから修士論文は課せられず、その代わりに多くの実習を行うことによって
修了を目指すことができる
ところです。大学院入試の際には、活動計画書という大学院に入ってから
主に行いたい活動について求められたりすることがあるようです。また、専門職大学院を修了した者に限って、
修了後の臨床心理士試験で求められる「筆記試験(マークシート)」「筆記試験(論述)」「面接試験」のうち、
「筆記試験(論述)」が免除される
ことも大きな特徴です。
専門職大学院はまだ数も少なく上記のようなことから人気が高いため、入試の倍率は高くなりがちです。

大学院の選び方

当校(IPSA臨床心理士大学院予備校)に来られている生徒さんでも、特に大学院選びの際に「どうやって大学院を選べばいいかわからない!」という方はたくさんおられます。

臨床心理士を目指す方には、「臨床心理士になりたい!」という目標はお持ちではあるものの、それ以上のことをご存じでないことから、何も決めておられない方がほとんどです。では、臨床心理士の指定大学院はどのようにして決めるのでしょうか。

指定大学院は、通常の大学(学部)選びの際の偏差値や知名度とは異なり、「名前が有名で偏差値が高ければ高いほど素晴らしい内容が学べる」というわけではありません。もちろん名前が有名で偏差値が高い大学の中でも東京大学や京都大学などトップクラスでは、ある程度それはあてはまるのかもしれませんが、自分の学びたい内容を学べるとは限らないのです。

大学を卒業しておられる方はおわかりかと思いますが、たとえば法学部に入学すると法律の全てを万遍なく学ぶかといえばそうではありません。その講義を担当する先生の得意な分野には時間をかけて学ぶものの、それ以外の分野に関しては全く触れない箇所だって出てきます。もちろん、指定大学院という形で「最低限学ばなければならない内容」は、ある程度どこの大学院でも学べますが、あなたが「○○療法を学びたい」「○○性格検査を専門にしたい」と思っても、それを専門にしている先生がいなければ、テキストレベルの知識かもしくは全く学ばないなんてことも出てくるわけです。

心理療法・心理検査には色々なものがありますので、最初は「どれでもいい」と思っていても、考え方が180度近く異なる心理療法を専門にしている先生のところに行くと、あとで失敗したと思いかねません。

さて、話を戻すと、大きく大学院の選び方には以下の3つがあるかと思われます。

1. 自分の行いたい研究内容と近い研究をしている先生で選ぶ

通常、大学院とは、専門学校のようなところではなく、研究をするところですので、研究内容で大学院や指導教官を選ぶのがスジです。ただ、指定大学院に行きたいと思っている方の中には、研究したいと思われている方よりも臨床心理士を取って臨床(カウンセリング)を行いたいと思われている方の方が多いですので、他の理由で大学院や指導教官を選び、後から研究内容を考える、なんて方は少なくありません。

2. 自分の専門にしたい心理療法(または心理検査など)を専門にしている先生で選ぶ

日本で行われている主な心理療法だけでも20~30程度あり、考え方やアプローチも様々です。大学院に入る前から興味のある心理療法や心理検査を見つけることは難しいかもしれませんが、臨床心理士試験対策心理学頻出キーワード集などを読んで、ある程度目星をつけておくことは必要でしょう。みなさんにとって興味のある心理学についての本は、何冊読んでも苦痛にはならないのではないでしょうか?様々な本を読んで、自分に一番(少なくとも今のところ)合うものを探してみましょう。

3. 元々著書や何かで知っている先生のところを選ぶ

まれに、生徒さんの中にも「○○という本を読んで、△△先生のところで学びたいと思いました」という方がおられます。そういう風に考え方や心理療法、心理検査のスタイルで大学院を選ぶのもひとつです。

以上のように、大学院の選び方は一つではありませんし、やはり滑り止めにする大学院も必要かもしれません。ここで選んだことが大学院2年間だけではなく、その後の先生方や同級生、先輩後輩とのつながりも形作っていきますので、ぜひ入念に選んでくださいね。

IPSA臨床心理士大学院予備校では、心理療法や心理検査、精神疾患などを学びながら、講師と生徒さんが一緒に大学院を決めていけるようなスタイルをとっています。