医師との違い

精神科医・心療内科医との違い

臨床心理士は精神科医や心療内科医と何が違うのでしょうか?
簡潔に説明すると臨床心理士は、 臨床心理学に基づいた臨床心理学的アプローチ、心理療法や心理アセスメントの
専門家であり、医師ではないので薬の処方はできません。

一方、精神科医や心療内科医は、医学に基づいた専門家であり、薬の処方が可能です。
精神科医や心療内科医は薬物を用いて主に脳内の神経伝達物質と呼ばれるものにアプローチするのが
治療の基本となります。
では、精神科医と心療内科医では何が違うのでしょうか。
心療内科という言葉は日本独特なもので、
元々は心身医学(心身相関と呼ばれる、心と身体はお互いに影響を及ぼしあっているという考え方)に基づいた
診療科とされていましたが、現在、実質的には精神科と心療内科にほとんど差はなくなってきました。
あえて違いを言うのであれば、心療内科は元々内科医である医師もその中に含まれており、
どちらかというと軽めのこころの病を扱います(いわゆるうつ病やパニック障害など)。
精神科は、どちらかというと重いこころの病を扱うことが多いといえるでしょう(統合失調症など)。

アプローチ方法の違い

精神科医や心療内科医は、薬物治療(薬物療法)がメインとなります。精神科医や心療内科医など、
医師が心理療法を行う場合は「精神療法」という言葉が使われます。ただ、精神療法自体は
日本の医学部の課程では、ほぼ学ぶ機会が得られないため、医師が自発的に研修会や学会などに
参加することで習得しない限り難しい側面があります。
また、医師は十分に時間を取ることが職業柄難しいため、通常のカウンセリング・心理療法のように
1回あたり40~60分を費やすことは困難で、多くはやはり薬物療法に頼らざるを得ない状況となっています。
それに対し、臨床心理士は医師ではありませんので、薬物治療は一切行うことができません。
カウンセリングや心理療法と呼ばれるような“薬物を使わない”様々なアプローチを用いることで、
クライエントの問題や症状を取り扱います。なお、臨床心理士・カウンセラーにとっては、
通常来談者のことを「患者」とは呼ばずに「クライエント(依頼者・顧客)」と呼びます。
それは、来談者が必ずしも「患っている者(患者)」とは限らず、単に「悩みを抱えている者」であり、
カウンセリングや心理療法を依頼する「依頼者」である場合も多いから、というのが一つの理由といえるでしょう。